大腿筋膜張筋は悪か?
私の病院だけかもしれませんが、股関節疾患の方のリハビリのカルテを見ると
「大腿筋膜張筋の過緊張が、、」
この文言がよく散見される印象があります。
果たして大腿筋膜張筋は本当に悪者でしょうか?
筋肉一つ一つには作用があります。
作用があるということはその関節運動をするときに必要な筋肉であるといえます。
ただ、同じ作用を持つ筋肉があると思います。
筋肉は単関節筋、二関節筋に分かれています。
この考え方が大腿筋膜張筋には重要です。
大腿筋膜張筋は二関節筋に含まれます。
ある文献では高齢者では二関節筋優位での姿勢制御を取りやすいと言われています。
このメカニズムは二関節筋の収縮にて多関節の剛性を高める効果があると言われています。
この考え方から考えると大腿筋膜張筋は股関節と膝関節の剛性を高め、下肢近位部の安定化を図っていると考えられます。
そう考えると大腿筋膜張筋は股関節周囲筋(単関節筋)の弱化を補い、かつ下肢の安定化を図っているとも捉えられます。
しかし、二関節筋は筋肉が細く単関節筋と比べてパワーは弱いです。
そのため、弱い筋肉をたくさん使うため、疲労しやすく疼痛にもつながりやすくなります。
理学療法士としてこれらの要素を考慮しつつ、患者さんによっては二関節筋の活動もうまく利用してADLの獲得を図っていく場合もあります。